儀式2日目精霊の夜

アマム

2018年05月06日 23:07

2日目の夕方に始まるという儀式は夜10時にみんなが到着し、それからごはんを食べ、そのままお茶を飲み。。。
いったいいつはじまるのか、、、、と、思っていたら、ようやく日付をまたぐその時に腰を上げる村の人々(笑)



 (photo by Shinji Kobayashi)

ほとんど月明りしかない真っ暗な中、聖地ゾンボの唄から始まった。
私はゾンボの唄が大好きなので一緒に歌って大興奮!!
みんなが唄う中、真ん中に臼のような聖水があり、その水でみんな顔や手を洗い清めた。
私も促され、顔を洗うとスーっとしたハーブが入った聖水だった。





 (photo by Shinji Kobayashi)

そして、精霊を下ろすと言われるンゴマザペポの地元のおばちゃんによる祈りと歌踊りが始まった。
独特の早いリズムで、鳥のような動きの踊りでどんどんトランス状態になっていく。。。
にこりともせず、真剣に踊るシャーマンはこの世を見てない凄い目をしていて、
目が合ったらすーっと吸い込まれそうになるので、なるべく目を合わせないように注意していた。
そのうち地元の人もバタバタ倒れ始め、発狂するように叫ぶ女性も出た。みんなにかかえられながら
真ん中の聖水を浴びせられ、落ち着かせてから、端の方のむしろで横たわって倒れていた。






 (photo by Shinji Kobayashi)

倒れた人を介抱するシャーマン。聖水を浴びせて目を覚まさせる。
そのうち、日本人の友達も気分が悪いと言い始めたので、テントに帰るように促すと
もうすでに歩けない状態になっていたので、慌ててムシロに横たわらせて、
お守りでもっていた沖縄の塩でお祓いし、自己流で除霊をする。なんとか正気に戻ると
また別の人が「おばちゃんと目が合ったら、目に吸い込まれて。。」と、歩けない状態
になっていたので、抱えてむしろに連れて行き気合いを入れて次々に治療をする。。
その姿をマサイのジャクソンさんが腕組して真剣に見ていたけど
これ日本の伝統ではないですけど、、と思いながら。。
その間に地元の人は20人くらいバタバタと倒れていたそうだ。。
ここは精霊とすごく近い世界がまだ残っている。昔はどこでもそうだったろう。

そうこうしているうちに雨がザーっと降ってきてンゴマザペポは中断した。
正直ほっとした。これ以上続いたら私も倒れそうだったからだ。
乾季真っただ中なのに雨がいきなり降ってきたので、今朝のお祈りが効いたのだろうと
みんながざわついていた。このままだと儀式が続けられないので、雨を止ませる儀式を始めた。
一旦テントに避難して雨宿り。そしてしばらくすると雨が上がった!すごい。




 (photo by Shinji Kobayashi)

そして今度はセンゲーニャ。5拍子の独特のリズムがどんどん体に入ってくる。
もう夜中の2時は回っていただろう。が、これからが本番!という感じで
みんな気合いを入れて歌い踊りはじめた。レレレレレという掛声と共に。





 (photo by Shinji Kobayashi)

このンゴマという調律した太鼓の独特の音階とリズム、
この調律と歌のキーが微妙にズレてるのが気になって匡哉に聞くとこれで正しいのだそう
この微妙なズレに精霊が入るんじゃないか、と言って納得だった。
なんとも微妙な不協和音が西洋音階ではない精霊音階なのかも?!
と、はっきりわかったのが、翌日のマテラ長老の太鼓を聞いたときだった。





 (photo by Shinji Kobayashi)

男の人が足に着けてるジュカのジャッジャジャ!という鈴の音が
天をつんざき精霊とつながって、みんなの唄と踊りと共に大きなうねりとなり、空間をゆがませ時空を超える。






 (photo by Shinji Kobayashi)

気づけば私も一緒に歌って踊っていた。しかしみんなの体力は半端ない。
少し踊っただけで疲れるのに、みんなはずっと肩を小刻みに揺らしながら
足ではリズムをとり全く休むことなく踊り続けている。トランス状態。






 (photo by Shinji Kobayashi)

3時を回ったころ私は限界になり、テントで横になったまま小一時間うとうとしながら
センゲーニャを聞いていた。。。行きたいけど体は動けず、魂だけ行ってる感じだった。







 (photo by Shinji Kobayashi)

しかし、どうしても見たいと起き上がり、4時すぎに広場に戻るとみんなまだ踊っていた。
ほんとにすごい体力だ!信じられない。みんな結構な年齢いってるのに。。。
精霊が力を与えてるとしか思えなかった。
精霊が乗り移るのは良いことなのか悪いことなのか?
良いも悪いもなく、人間と同じで良い精霊もいれば悪い精霊もいると思う。
精霊のお告げでドゥルマの人たちが守られた歴史もある。
ここには目に見えない精霊が生きている自然と文化が残っている。







 (photo by Shinji Kobayashi)

そして5時くらいにセンゲーニャが終わると、精霊を呼ぶカヤンバを渡されなぜか輪の中に入れと。
おじさんの中で私だけが入り、女性は誰もいなかった。ひたすらカヤンバを鳴らし続けると
だんだんトランス状態になってきて、夢の中にいるのか現実なのかわからなくなってきた。
そこはただ唄を歌ってカヤンバを鳴らし、何も考えない瞑想のような無の境地。
今思い出しても夢のような何をやっていたのかあまり思い出せない。







 (photo by Shinji Kobayashi)

となりのおじさんは踊り続けた疲れからか途中コックリコックリしていたが、盛り上がると
ちゃんとカヤンバを鳴らしてすごかった。ハタからみるとおかしい場面だが、全く笑えなかった。
修行のようにひたすらカヤンバを鳴らし続けているうちに
夜が白みはじめ、美しい朝焼けになり、太陽が昇ってきた。
日の出を浴びてカヤンバは終わりを告げた。。




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